全世界の反戦運動がロシア軍のウクライナからの撤退を要求しています。ロシア軍の今回の侵攻が、国連憲章に違 反する侵略行為であることは間違いありません。しかし、今もっとも重要なことは、即時停戦と持続的和平を実現すること、 これ以上の市民犠牲にストップをかけることです。ウクライナへの武器弾薬の供与を含め持久戦を煽り、戦争の拡大を 煽ることではなく、直ちに停戦交渉に入ることを要求することです。この戦争こそが、軍事力や軍事同盟で平和は築けな いことの証明ではないでしょうか。
ところが、自民党・岸田政権は、この戦争に乗じて 5 年以内のGDP比 2%突破、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と 読み替えて自衛隊が米軍と共に「先制攻撃」行う方針を打ち出しています。自衛隊は米軍、欧州やオーストラリアなど他 国の軍隊との共同演習・一体化を進め、さらに「敵基地攻撃能力」という名で、中国等を念頭に「先制攻撃能力」を備 えることを追求しています。非核三原則の放棄と日本への核兵器配備を狙う「核共有」論までが公然と語られ始めまし た。政府・与党や維新の会は、日本国憲法第 9 条の改定を大声で叫び始めています。昨年の総選挙で自民・公明の与 党に維新を加えた改憲推進勢力が 2/3 を確保しました。彼らは、7 月の参院選でも改憲勢力 2/3 超の確保を目指し ています。自民党は、改憲 4 項目の中に「教育の環境整備」を掲げています。しかし、それは教育の目的を「国家に役立 つ(公益のための)人材づくり」だということを憲法に明記させるものです。教育への国家の介入を禁ずる現行憲法を完 全に逆立ちさせ、憲法を根拠に教育への政治支配強化を狙っています。
こうした中、コロナ危機の中で始まった新学習指導要領の本格実施に GIGA スクール構想が加わり、学校の新自由主 義化と混乱に拍車がかかっています。新学習指導要領は、最高裁判例として教育目標と教育内容の「大綱的基準」に とどまるものとしての「法的拘束性」の枠さえ飛び越えて、「グローバル人材」育成を目的とした新自由主義教育改革実 現のために何でもありの様相を呈し始めています。「主体的・対話的で深い学び」のためにどのような「授業」を行い、 「資質・能力」をどのように「評価」するのか、これまで学校や教員の裁量とされていた教育方法や評価基準、教育課程 の編成等に至る教育全般をすべての学校に「国家標準」のように数値化された「目標」と「達成度」が企業経営と同様 の PDCA サイクルで管理させ始めています。さらに、道徳の教科化、小学校 3,4 年に「外国語活動」(週 1 時間)5・6 年に「外国語科」(週 2 時間)、教科横断的な「プログラミング」教育、「読解力強化(リベラルアーツ)教育」等が新た に導入されています。いったい子どもたちにどこまで詰め込めば気が済むのでしょうか。
今夏も、「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会は、山積する教育課題と対峙していかなければなりません。講 演を、「日の丸・君が代」関連訴訟をはじめ、ミャンマー代表のサッカー選手ピエリアンアウンさんの難民認定やスリラン カ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの名古屋入管事件等に関わってこられた空野佳弘弁護士にお願いしています。